RoHS、Pbフリーときて、今回はハロゲンフリーである。 ハロゲンという言葉は、ハロゲン電球やハロゲンヒーターなどで聞き覚えがある。元素周期表を見ると分類されている通り、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチンの5元素を「ハロゲン族元素」といい、これらを含む化合物をハロゲン化合物と呼んでいる。ハロゲン化合物は難燃剤として使用され、臭素系難燃剤や塩素系難燃剤がある。
ハロゲンフリーとは、電子部品の材料に含有されるハロゲン系化合物を、ハロゲンを含まない材料に代替することである。代替技術や物質を検討して量産に移行する場合、新たな問題が生じる。難燃化方式が検討されて臭素系難燃剤を使わないハロゲンフリータイプの材料も開発され、既に量産レベルで生産されている。
日本においては、環境調和型設計として「鉛フリー化」、「ハロゲンフリー化」、「カドミウムフリー化、」「クロムフリー化」などが進展している。鉛フリーと同じく、環境に配慮した製品開発を進めるにあたって、セットメーカーが最も神経を使っているのは、調達する部品や原材料に含まれる有害化学物質の含有状況の把握である。
ちょっとまて、そもそも「元素周期表」なんて久しく見た記憶がないぞ。ということで文部科学省HPを検索してみる。あったあった、解説には「国民の皆様が科学技術に触れる機会を増やし、科学技術に関する知識を適切に捉えて柔軟に活用いただくことを目的として「一家に一枚」ポスターを発行しています。」とある。さすがに我が国の科学技術政策を総合的かつ体系的に推進しているお役所の総本山である。「一家に一枚」というタイトルがいい。文末にリンクを張りますので皆様も是非どうぞ!「元素周期表」だけでなく「宇宙図2013」や「鉱物」なんてものもあります。ワクワクする~が、本題から外れてしまうので、さっそく元素周期表でハロゲンを確認していきましょう。
まずフッ素は歯に塗布することで虫歯を防ぐのに使用されており、我が家の歯磨き粉にもフッ素入りと書かれている。塩素は漂白剤や下水道管としておなじみの塩ビ管(地中に埋められているのであまり見ないか)に含まれており、食塩の成分でもある。
臭素はブロマイド写真に使われるが、オゾン層を破壊するといわれる。ヨウ素はヨードチンキ(消毒薬)に使われる。驚くことに千葉県が世界第二位の産地である。それに放射性元素のアスタチンが加わったグループがハロゲンである。これらは化学と技術でうまく使えば生活の役に立っているが、やはり過剰摂取は有害である。
ハロゲンを使用した製品、例えばハロゲンランプを作るに当たって、ハロゲンを安定させて使用する技術はある。しかし、使用済のものを処理する際に問題が生ずる。安定して使用することができるため、以前ではプラスチック製品に塩素や臭素の化合物、要するにハロゲンのグループの化合物が添加されていた。それらを破棄する場合にも低温で焼却すると、ダイオキシン類が発生する可能性がある。現代ではフッ素、塩素、臭素等を除きハロゲンをなくしてしまおうという取り組みにつながっている。
大手のセットメーカーではグリーン調達の一環で、塩化ビニルを含めてハロゲンフリー材料を要求する企業がある。この動きはアジアにも飛び火し、素材・材料メーカーはハロゲンフリー材料を開発・供給できる体制となった。初期の段階では、欧州で1990年代初頭にハロゲンフリーのプロジェクトが検討され、ハロゲンフリー化技術が開発され、プリント配線板や封止材に応用された。
日本では、所沢のダイオキシンの市条例規制や高まる環境への配慮から、1990年代後半になってパソコンやDVDプレーヤーに応用されるなど多くの製品に展開された。現在、650機種以上に応用されて量産化している。ハロゲンフリーの定義として銅張積層板に対して、JPCA-ES01で臭素、塩素がそれぞれ900ppm、臭素+塩素で1,500ppm以下であればハロゲンフリーの定義として標準化されている。これを受けて、IPC / JEDEC-J-STD709で銅張積層板以外の筐体、接着剤、フィルム、コネクタなどにも適用する動きがある。
参考 :『一問一答形式でわかりやすい 環境規制Q&A 555』より
:元素の周期表 http://stw.mext.go.jp/series.html
広報 小池 公彦
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