毎日、半導体や電子部品の見積を数百件さばいて、もう15年が過ぎました。メーカ名と型番が一致すれば、あとは価格だけ提示すればよさそうなものの・・・この業界「RoHS」「Pb free」などのスペックやデートコードをお客様から聞かれることが年々増えてきています。
先月入社した新人のLouis君から「そもそもデートコードってなに?」「どうやって解読すればいいの?」と聞かれたので、自分なりに答えを出してみました。
英語で書くと「DATE CODE」
DATE=日付・時代・年代
CODE=符号・記号・暗号(体系的・一定の原理に従った)
となります。つまり「日付を英数字で整理した符号」のことを「デートコード」といいます。何の日時を示しているかというと、部品の誕生日を示す符号なのです。
どうやって解読するの?
どのように整理・表記するかは、各メーカさんによって異なりますが、一般的に用いられる方法としては、数字4桁で表記する方法です。最初の2桁で製造年、後ろの2桁で製造週(Week)を表します。
D/C 0623 = 2006年23週目(6月5〜11日)に製造された製品となります。
週単位の符号になりますから「Weekly Code」と呼んでいる人もいます。「最初の木曜日を含む週がその年の第一週」と数えます。これはISO8601の規格ですね。この他にもアルファベット26文字と数字10文字の計36文字を組み合わせて表示することもあります。デバイスの表面に印字するときなど、スペースがほとんどないので2桁や3桁で表示することもあります。製造工場や製造国を一緒に書き込むこともあるんです。テキサス・インスツルメンツの場合「J7749」1977年12月の日本製となります。 1980年代の一部「J」がついている韓国製も存在します。理由は定かではありませんが、TIが東アジアのファウンドリ(製造専門)全てに「J」振り当てた可能性も考えられます。
お客様にデートコードを伝える際、数字の後に「+」を付け加えるのをよく見かけます。これは「以降」という意味で使われています。例えば「12+」と書いてあれば「2012年以降に製造された部品」という意味になります。もしデートコードや製造年が明確になっているのであれば「+」を外した方がよいと個人的には思います。お客様への情報提供を考えた場合、「○○年以降に製造された部品です」と曖昧に伝えるのよりも「○○年に製造された部品です」と正確に製品情報を伝える事が大切だと考えているからです。
なんでデートコードを知りたいの?
もっとも重要な役割は、市場に出回ってしまった部品に問題が発生し、回収しなければならない場合に商品を特定する整理番号(トレイサビリティ番号)として使われます。つまり、ユーザが認識できるようにしなければならないのに、意外と解読が難しいヤツなんです。でも我々はこの英数字数桁から想像力を膨らませていきます。そしてお客さまにとっても、いい判断材料になるのです。
例えば・・・
「このICは、2015年に作られたんです。」とお客様にお伝えすれば、
「そっゕ―、作ったばっかしだね」となりますし、
「こちら89年ものなんです」とご案内すれば
「うーん。そんな古いの使えるかな? はんだのるかな? 価格が高くても新しいのがいいな」などと商品を決めることができます。でも残念ながら
「うぉービンテージじゃねぇか。レアだね、くすぐるね。80年代と言えば、日の丸半導体の時代じゃない。懐かしい!!」とはなりませんね・・・。
というわけで、デートコードの正体は、製品の劣化状態を推測したり、Spec(RoHSや鉛フリー)を判断するいい目安になったりする符号だったんです。
半導体や電子部品も食べ物と同じように、賞味期限みたいなものがあります。一般的には品質保証期限というのでしょうか。製造から日数が経ちすぎてしまったり、保管状態が悪いとサビなどの劣化が出てしまったりすることがあります。デートコードを見れば、製品の状態を推測することもできますね。東芝さんは、環境対策にいち早く取り組み、2003年には、ほとんどのICがRoHS指令に対応したようです。世界各国の環境規制を常に意識し、いち早く取り入れる。さすが日本メーカですね!このように製造年を知ることにより、RoHS対応品か?推測する一つの判断基準にもなります。
とはいえ、デートコードだけでは大まか過ぎてトレイサビリティ性が低いということは否めません。そんな、ちょっと物足りない中途半端な符号のデートコードですが、ユーザにとっても我々商社にとっても意外と便利なヤツでもあります。私たちは、お客様により安心して商品を買っていただくためにも、見積の段階でできるだけ多くの情報を提示していくようにしています。その重要な情報の一つがデートコードなんです。
下島元
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