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若き日より高みを目指し、異文化を求め、アメリカに渡った。広い視野と独自の価値観を身に付けた植木は、オフィスにクライミングウォールを創る。慎重派だが、深夜Seoulでキックマシンを蹴りすぎて負傷。旅慣れているはずだが、たびたび海外で動けなくなったりもする。
寡黙な男であり、静かに後輩を後押しするのが彼の流儀だ。
半導体業界のてっぺんを目指すタイロテックのシェルパは、彼をおいて他にない。





風来坊慎重派

風来坊慎重派 早く広い世界に出たい。ずっとそうしたかった。中学入学の頃、親に頼み込んだ。「海外留学したい。何が何でも行きたい。アメリカに行かせてください。」
念願かなって渡海したのは二十歳前。オレゴン州立大学で、アメリカの歴史や語学を学んだ。降り立ったのは9.11の直後、アメリカは騒がしかった。文化の違いがあらゆるところに見て取れた。そんな中、植木が切り取った新たな世界観は「ここの人たちは、日本より遅れている面もあるが、探求心が強く、一生懸命に勉強している。」真直ぐ真面目にひとつのことをやる姿勢が根付いている。日本人はいろいろなものに手を出す。つまみぐい民族に思えた。図書館は24時間開いている。宿題もすごくたくさんでる。思いのほか真剣に勉強してしまった。その代わり週末はパーティを楽しむ。終始徹底している。「これからを、どう切り開こうか」人生のルート・ファインディング技術を学んだ時期だった。

帰国すると、バイトと一人旅を繰り返す生活が始まる。別段、人とのふれあいを求めたわけではないが、人の話を聞くことは好きだった。北海道では、メロン畑でおばちゃんに捕まり、めちゃくちゃメロンを食べさせられた。さすがに悪いと思って、二つ買うと、さらに喜んで、今度はイカ釣り漁船に乗せてあげるよという。なるほど漁港には、たくさんの船がひしめいている。瞬時に確信した。「あれに乗ったら、もう陸の生活には戻れない。」丁重にお断りした時の、残念そうなおばちゃんの顔が今でも忘れられない。生来慎重な性格だったが、抑えきれない向上心が植木を外の世界へと誘う。安定を求めて必死に就職活動をする仲間もいた。「この世界のどこに安定なんてものがあるのだろうか。つまみ食いのような生き方が通用するわけがない。」この慎重な風来坊は旅を通じて、人との出会いを重ねていく。下島と出会うのは、まだ数年先になる。 

その後、野菜の卸売をした。仕事に悩み、人間関係に疲れることがあっても、よくしてくれる板長さんに「来たか、なんか食ってけよ」といわれると心が軽くなった。そんな経験からか、植木は「人と人との繋がり」を仕事の根底に置くようになる。その後の風来坊は定職にも就かず、ボルタリングに没頭していた。壁を登りながら何を考えていたのかは、知る由もない。

ちょうどそのころ下島は、人材確保に頭を悩ましていた。「世界と渡り合える、たくましい奴がほしい。」募集をかけると大勢集まった。学歴も、東大、早稲田、ケンブリッジ、北京と華やかだ。4ヶ国語を操るものもいて、それぞれに優秀な印象を受ける。一人ひとり真剣に、祈るような気持ちで50人以上面接をした。人材確保は会社を挙げたプロジェクトだった。しかし、どうもピンとこない。失敗を恐れてスマートな仕事に走りがちなエリートよりも、独自の視点と国境を越えたコミュニケーション能力を合わせ持つ人材がほしい。結局全員不採用にしてしまった。




One more time,One more chance

One more time,One more chance プロジェクトは失敗した。
途方にくれる下島は、ビールを買いに外へ出た。

明け方の街、桜木町で、こんなところにいるはずもないのに・・・

出会った。
無駄には笑わないが、その柔和な表情が何故だかとても眩しく見えた。 植木から見ればアルバイト先で、ちょくちょく挨拶をする程度の顔見知りだった。「ちょっとした仕草にこそ、視野の広さや、気配り、頭の良さは見て取れるものだ。」下島が繰り返しイメージしていた、タイロテックを支える男はごくごく近くにいた。
植木に断る理由などなかった。「手応えがありそうな壁が向こうからやってきた」そんな感覚だった。

入社して最初の仕事は下島の護衛だった。世界各国を飛び回る毎日を想像して、植木の胸は高鳴った。しかし、お腹が下った。出張先のグループ会社で原因不明の腹痛により3日間も動けなくなった。

「君にはボディガードしか頼んでいないのに。それじゃぁ何の役にも立たないね。」

下島は植木を置き去りにして、次の目的地に飛び立ってしまった。去り際の一言は、悶絶する植木の胸と腹にとどめを刺した。回復した後も、「このまま帰れるわけがない」と思い込んだ植木は、現地の先輩であるイギリス人に仕事の基本と英語のブラッシュアップを請うた。必死だった。





最初にお声掛けください

最初にお声掛けください 一か月以上に渡る丁稚奉公を終えた植木を日本で待ち構えていたのは、お客様による洗礼だった。あるお客様は面倒見のよい上司のような方で、よく電話を下さる。部品の問合せだけでなく、さまざまなことを教えてくれる「あなたはこういう対応をしなければいけないよ。」そんなアドバイスも。時として電話が長くなることもある。ずーっと怒られているような状況を先輩たちは笑って見ている。タイロテックの新人が必ず通る儀式なのだ。
ルーチン業務をさばくだけが仕事ではない。どれくらい急ぎなのか、その型番に執着するのは何故なのか、ドキュメントには表すことの出来ない背景を把握するために日々経験値をためる。人間らしい関係を限られた状況の中で作り出すことに集中する。「人と人との繋がりなしに取引が成立することなどありえない。」ここでも植木のスタイルは何ら変わらない。

調達専門商社の使い方を知らないお客様が意外と多いなあと感じる。メリットとして、まずは、生産中止品などの入手性の薄いものの調達を簡単にできる。部品がひとつ足りないだけで、製品が完成しないといった事態はよく生ずると聞く。そんなときには、すぐにタイロテックに問合せしてほしいのです。
「お宅の会社は、よく探してくるね。回答率が高いよね。最後の砦だよ、ホント。」なんてことをよく言って頂ける。それは確かに大変有難いことなのですが、「最初に声をかけてくださいよ~」と思ってしまう。最初から使って頂ければ、トラブルが早く解決するし、より困らないと思いますよ、ホント。





壁 趣味はボルタリング。会社でサークルを立ち上げ、リーダーを務めている。始まりは、杉山が「やってみたい!」と言い出して、YUIも一緒にそのままジムへ。小屋に入ると壁があるというシンプルな造りだが、無数のホールドが生み出すバリエーション豊かなクライミングコースは、自らが切り開いていく未来のようだ。その魅力を尋ねた。歌にもあるでしょ「高ければ高い壁のほうが登ったとき気持ちいいもんな。」(Mr.children  「終わりなき旅」)ひとは誰でも壁が好きなのです。
今度みんなで大会に出てみたい。天然の岩を登ってみたい。そして、現在オフィスにもクライミングウォールを作っている。冗談のようだがホントの話だ。

一見、仲が良さそうな集まりに見えても、植木は今の体制に満足していない。「もっと強く繋がることができます。仲が良いだけでは本当のチームじゃないのです。」アメリカで培った感覚なのか自分の考えをオープンにぶつけ合うことが本物のコミュニケーションだという。そして仕事のノウハウだけでなく、本心やストレスなども共有したいと目論んでいる。
「だって、みんなの思考が共有されたら、無敵のデータベースでしょ。お客様のニーズにチーム一丸となって応えることができる。しかも同じ感触、同じベクトルでね。」

後輩への一言
「なんでだろう」という意識は常に持って欲しいと思います。
仕事でも普段の生活でも。その行動が正解であろうと間違いであろうと。「なんでだろう」と思うことが、知らずと全体を把握していたり、修正すべき点が見つけられたりと、”本質”が浮き出てくるものです。そしてうっすら見えてきた山影や頂上に対して、全力でサミット・プッシュしてもらえたら嬉しいですね。


※山岳用語の解説
シェルパ:ヒマラヤの現地人登山ガイドを表す一般名称。日本では強力(ごうりき)。
ルートファインティング:知識や感覚、地図や情報をフル活用して正しいコースを見つける技術。冷静な判断力が必須。
サミット・プッシュ:自分の体を自分で頂上まで押し上げる意。我々は自然に生かされている為、山を征服するというのは少し違うと植木は思っている。
ホールド:岩登りで、手がかり足がかりになる岩角をいう。






プライベートの一コマ・・・

趣味はボルタリング。会社でサークルを立ち上げ、リーダーを務めている。

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