-負の遺産-有害物質使用規制

業界レポート / 2015年05月

yugai

 

 

有害物質

廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、人の健康に係る被害を生ずる恐れのある物質を含む産業廃棄物を処理・処分する際に、一般の産業廃棄物に比較してより厳しい規制がなされている。この有害物質としては1)水銀またはその化合物、2)カドミウムまたはその化合物、3)鉛またはその化合物、4)有機リン化合物、5)六価クロム化合物、6)ヒ素またはその化合物、7)シアン化合物、8)PCBが定められている。なお、海洋投入処分の場合は、さらに4種類の物質が加えられる。1)有機塩素化合物(PCB、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロブタジエン、ポリエチレン塩素化物、ポリジクロロブタジエン、ポリブロビレン塩素化物、ポリブタジエン塩素化合物を除く)、2)銅またはその化合物、3)亜鉛またはその化合物、4)フッ化物、ただし、これらの4種類の物質については有害物質とは表現されていない。

 

 

有害物質規制法[Toxic Substances Control Act]

トスカ、TSCAと略称。有害な一般化学物質から人の健康および環境を守る目的で、1976年10月、米国で制定された法律で次の3本の柱から成り立っている。

1)既存化学物質に関する措置:この法律の制定時、すでに業として製造等が行われていた化学物質のうち、有害なものについては規制を行うことができること。

2)新規化学物質または既存化学物質の新たな用途に関する措置:新規の化学物質を米国内で製造、輸入または米国へ輸出しようとする者に、その90日前にEPA(米国環境保護庁)へ種種の情報および安全性データを届け出ることを義務づけ、審査の結果必要な規制を行うこと。

3)テストの要請:前期1),2)に関し安全性データが不十分な時は、EPAは届出者に追加データの要求ができること情報およびデータの範囲はMPD(minimum premarketing set of data)と類似しているが、MPDやEC6次修正(危険物質の識別とその包装、表示規制に関する加盟諸国の法律の近似化に係るEC理事会指令の6次修正)と異なり、必ずしもデータセットとしてすべての範囲の安全性データを提出する必要はなく、届出者がその化学物質の安全性を十分に認識しうると判断できる範囲が一応の目安となっている。

 

 

有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律

家庭用品の安全性確保のため公布された法律。家庭用品に使用される有害物質を政令で定め、厚生省令で指定された家庭用品について、その有害物質の含有量等の基準を定め、これに違反する家庭用品の流通を禁止することが中心となる。これまでに17物質が有害物質として指定され、これらを含む各種家庭用品について基準が定められている。厚生省には家庭用品安全対策室があり、全国77の都道府県・政令市には約2000名の家庭用品衛生監視員が配置されている。また、昭和54年度から家庭用品危害情報精度が発足している。

 

 

有害物質に関する規制

労働者に重度の健康障害を生ずる可能性のある物質について、労働安全衛生法では、製造等の禁止(製造し、輸入し、譲渡し、提供し、または使用してはならないもの。)製造の許可(あらかじめ労働大臣の許可を受けること)、表示、および、有害性の調査などを定めている。製造等が禁止される有害物は、同法施行令第16条で定める黄リンマッチ、ベンジンなどとされ、製造の許可を受けるべき有害物は施行令別表第3に掲げる特定化学物質等の第一類物質とされている。

以上「環境化学辞典」より

 

 

有害物質使用規制というタイトルで、主に化学物質に関する規制について、廃棄物処理、情報提供、家庭用品、労働者と、それぞれの側面から調べてみた。規制をかけたのには、その背景と目的がある。「次世代に負の遺産を残さないため」である。

半導体商社である私たちは、供給する部品が文明に寄与する便利な製品となり、世界中の人々が豊かに暮らせることを喜びと考えている。一方で、いくら経済が成長しても地球が汚染されることを微塵も望まない。

しかし、私たちの仕事の範疇で考えるならば、この二つの事実は決して対立する概念ではなく、同じ方向性を目指して両立するものである。次世代にとってより良き社会、より豊かな環境を残していくことこそ使命である。

その実現のためにタイロテックは、何をすべきか。個人ではどうか。そういうことを、ことあるごとに社内で話合い、発信していきたい。「常に問題意識を持つ」、「できることからやっていく」その姿勢の継続こそ重要である。意外とできてしまうことは結構ある。

 

広報 小池 公彦





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