堀江昭泰 | 社員インタビュー

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堀江という人間を形成しているものは「大いなる問い」なのではないか。日々、迷いながら応えを見つけ出し、失敗しては理論を再構築する。
子供のブロック遊びのようにビジネスプランのスクラップ アンビルドを当然のように繰り返す。
そんな兄貴を後輩たちは黙って観ている。
「何度失敗してもいい、やり直す勇気だけは忘れるな。嘆く前に立ち上がれ。泣きたかったら、歩き始めてからにしろ!」兄貴の喝を合図に後輩たちは、会議室を続々と出航していった。

宝石商になりたかった

宝石商になりたかった 「僕は宝石商になりたかった。」高校を卒業する時、宝石鑑定の資格を取ると決めた。そして呉服屋に入社。呉服屋には必ず宝石が付いてくる。着物は、日本人にとっての勝負服だから、アクセサリーだって贅沢。「女性は喪服を買ったら、パールも買うでしょう。着物に宝石はつきものだから呉服屋を選んだんだ。」

鑑定士になるために国家試験を何度も受け、落ち続けた。夢を諦めるつもりは毛頭ない、石に噛り付いても宝石商になると決めている。数年経ち、5回目の試験が終わり帰り支度をしていると試験官が声を掛けてきた。「堀江君、ちょっといいかな。一杯付き合ってくれよ。」業界の大先輩から唐突な誘いを受け驚いた。近くにあった公衆電話から呉服屋に電話をして事情を話した。
店から初めての暇をもらった。

夕映えの上野は、人や建物、埃さえも紅く染めている。雑踏の中、従うがままに御徒町の立ち飲み屋に入ると瓶ビールと枝豆が出された。試験官は、店での奉公話や、田舎の話などを親身になって受け入れてくれる。「なんかストレスを溜めてたのかな。優しく聞いてくれるものだから堰を切ったようにしゃべったのを覚えているよ。」ひとしきり話し、アルコールからの高揚感を楽しみはじめた時、彼は口を開いた。
「堀江君、もう受験しない方がいい。1個目と100個目の石の判定を変えたでしょ。同じ石なんだよ。知識や情熱を持っていても、何か問題を抱えているのであれば、受かるものではない。」
街の喧噪が突然止まった。静寂な中、心臓の鼓動だけが大きく響いている。生まれつきの乱視で左0.2右2.0だった。店にも内緒にしていた。
動けなかった。立ち上がることもできず、歩き出す事もできなかった。夢を諦めた瞬間だった。



振り向いたら一人だった

振り向いたら一人だった 喰って行くために、寝場所を確保するために必死になって仕事を探した。学校にも行きなおした。そしてSEに転身した。
「アプリ開発?そんな言葉なかったよ(笑)」COBOL やC++を駆使してプログラムを書く日々。「せっかく納品しても、昔の人は使わないよ。パソコンの上にワープロ乗っけちゃってさ、説明も聞いてくれないの(笑)」なぜか嬉しそうに話す堀江。“SEとしては能力高いのにコミュ障でね”などと言うのは割と普通の現代、昔のSEは皆、こんなに人当たりがよかったのかと思ってしまう。

食品を扱う会社にいた頃もあったという。昔はメールなんか無かったよ。電話とファックスとテレックス。さすがに電報は使わなかったけどね。これからという時、WEB全盛期とともにITバブルが到来する。取り残されていく企業も多くいた。
この頃、堀江も時代に翻弄されていた。独立を考えたこともある。実際に会社を立ち上げる段階になって、一緒にやる筈だったメンバーの足並みが揃わない。堀江一人、梯子を外された形になってしまった。「俺には家族があるからリスクは背負えないよ」「動くのは失業保険を貰った後でいい」耳を疑った。勇んで会社を辞めていた堀江にとって、おおよそ信じられない理由で、誰も動かなかった。またしてもプランが砕け散った。
呉服屋の勝手口を出た日と同じだった。




ロンゲのポニーテール

「タイロテックは、下島さんのベットルームを改造してオフィスにしてたんだよ。そうそう、押入れに机入れてたね。見せてもらったことある。」
ITバブルが崩壊した頃、タイロテックは下島宅を離れて初めて横浜高島町に事務所を構えた。
この頃、堀江はタイロテックとジョインしたのである。入社初日、伸ばし放題のロンゲを後ろで束ね出勤。「相当驚かれたみたい。しかも蛍光オレンジの帽子かぶってさ。俺的にはイケてると思ったけど。」ちなみにこの頃の下島は丸坊主だったそうだ。ロンゲと丸坊主が裏横を闊歩している・・・異様な風景であろう。タイロテックが桜木町七丁目へ引っ越した途端、裏横の地価が急上昇し、再開発が始まったのは頷ける。まさに「原因と結果の法則」である。




社長は口出し過ぎだよ

下島と方針が異なることはよくある。社会情勢も顧客ニーズも変化していく中で、スタイルも役割も違う。ズレや亀裂が生じても不思議はない。
「事件は現場で起きているが、会議室でも起きている」といわれるが、お互いが見えていない部分も当然あるから、紛争もしばし起こる。「不安は夜更け過ぎに~怒りに変わるだろう~mmm」話しを面白くしようとするのが悪い癖である。
「しもさん(社長)は気負いすぎている、口出しすぎだよ。もっと個々に任せてもらってほしい。若い奴らが壁にぶつかっても、自分の力で突破しなきゃダメなんだ。失敗したって、負けたって、先が見えなくても自分の足で立ち上がって歩き出さなければいけないんだよ。いつまでも助けてあげてたら癖になるだけ。立ち上がる勇気と力が必要なんだ。」聞いているこっちが、暑苦しくなってきた。若干面倒クサイ。




堀江講義

堀江講義 取材中、山内が突然近づいてきて堀江に耳打ちした。どうやらトラブルである。話を聞き終えた堀江の指示(講義)をかいつまんで紹介する。
「リスクに遭遇したのなら、その場で対策マニュアルをつくれ」「問題を一人で抱え込むことと責任を果たすことは違う」「問題が長引く場合は、段階を区切ってひとつずつ解決しろ。One down, Two downってな。」「時間が過ぎても、良いことはひとつもない」「待たされて不安にならないお客様はいないぞ」インタビューなんぞ、そっちのけである。(所詮身内、仕方がない・・・)
「お客様やベンダー、クーリエも巻き込んで考えるんだ。諦めるな。匙を投げるな。解決策はある。動かない石だって動くんだよ。動かすんだ。」と、この日の講義を締めくくった。
これだけ多くの取引があるなかで、全ての関係に責任を持つ。「腕の見せ所だなぁ」生き残れる会社がそんなに多いとも思えない。生死を分ける戦いは、これから本格化すると堀江は読んでいる。




ブリリアンカットのように

ブリリアンカットのように 理想のチームは、ぬるま湯ではない居心地の良さ。熱い風呂に、全員入って百数えるみたいな会社、集団でいたい。ここを抜けたら楽しいと思う。せっかく知らない人間が集まったんだから、楽しもう。「仕事は大変だよ。だからこそ楽しんじゃえよ。馬鹿っぽいおもしろさがいいね、好きだね。」

「ブリリアンカットに光をあててみたことある?光を当てると57方向に光の線がスーッと通るんだ。あんな綺麗なものはない」そして笑いながら付け加えた「うまく表現できないけれど、タイロテックもあんな風になれないかな。そしたら俺もAKB48みたいに卒業するよ。」

何度でも立ち上がってくる兄貴に卒業式はないでしょ。
思わず、つぶやき返しをしてみた。




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